What is Tadoku Tree House? – 日本語

学習者が作成したオリジナル多読本

スミス大学の日本語クラスでは、2017年の春学期から、多読をしながら日本語学習者のための多読向けの本を作成するプロジェクトを行っています(髙橋 2017, 2018)。翌年の2018年からは、「先輩が作成した多読本を後輩たちが読む」または「クラスメートが作成した本を読み合う」というサイクルが生まれました。これがスミス大学日本語プログラムのユニークな伝統となり、以来、どの日本語レベルでもできる持続可能なプロジェクト、同時に、学習者主体の日本語学習方法の一つとして根付いています。

ここでは、スミス大学で日本語を勉強している学生が書いた「レベル別 多読向けのストーリー」、また、Yomu Yomu Beginners(初級者向け) 、Young Learners (K-12向け)、Linguistic Landscape (言語景観) 、 Diversity(多様性) シリーズをご紹介します。

   

ストーリーのレベル付けは、基本的にNPO多言語多読のレベルの目安を参考にしていますが、学習者の日本語学習や多読経験からの観点も取り入れてレベルを付けています。

基本的に、日本語授業で習った文法・語彙・表現・漢字を使いながら、学生が書ける日本語でストーリーを書きました。また、読者が辞書を使わず、単語リストやフットノートなしでも読めるように、学習者同士が読み合って、デザインや話の構成を工夫しています。

参考までに、スミス大学日本語コースが使用する教科書は以下の通りです。文法、語彙、漢字の項目は、各教科書のウェブサイトをご覧ください。

教科書

コース名

 コース#
げんき vol.1 Lesson 1-8 1st year Japanese JPN110
げんき vol.1&2 Lesson 9-16 1st year Japanese JPN111
げんき vol.2 Lesson 17-23 2nd year Japanese JPN220
上級へのとびら Lesson 1-7 2nd year Japanese JPN221
上級へのとびら Lesson 8-15 3rd year Japanese JPN301
教科書なし なし 3rd year Japanese JPN302
教科書なし なし 4th  year Japanese JPN350/351

イラストや写真は、著作権フリー、学生オリジナルのもの、または所有者から許可を得たものを使用し、ストーリーは学生のオリジナルが中心です。リライト版をする場合は、著作権がないもの、または切れたものを選んでいます。完成した本の著作権は、作者およびスミス大学に既存します。

 https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/

Tadoku Book Project ✖️ Design Thinking

デザイン思考のフレームワークを生かしたプロジェクトデザイン

この多読本プロジェクトは、「デザイン思考」のプロセスを取り入れながら「つながり」を意識して作成しています(髙橋 2023)。

何とつながるかというと、例えば・・・

  • 自身の日本語の学習経験と日本語スキル
  • 教科書の内容、語彙、文法、漢字、会話表現など
  • 多読の経験
  • クラスメート、友達、家族、ペットなど
  • 自分の考え、アイディア、興味
  • 経験、大切な思い出など
  • 趣味や特技
  • 他の授業で学んだ・学んでいること
  • 読者、日本語学習者

スミス大学デザイン思考専用の教室で作成(パンデミック中は遠隔で作成)します(注:スケジュールによっては教室作業の場合もあり)。草案の段階で、学生間のドラフトのやり取りを1回、クラス全体発表を2回し、フィードバックやコメントを学生同士でし合って、作業を進めていきます。一人で作成する学生もいますが、2〜3人のグループでの作業を推奨しています。一人での作成でも、必ず、他の学生らとのフィードバックを絡めています。独りよがりの作品にならないよう、21世紀型学習の一つ「協働」から学ぶ環境を作っています。

   

日本語教師は、語彙、文法、表現、スペルなどの間違いのチェックをしながら、基本的に作者の視点や意図、学習者にとっての読みやすさ、わかりやすさ、面白さを尊重しつつ、完成まで支援をしていきます。その時期の学習者の日本語力や個々の日本語スタイルをできるだけ残すべく、細かい文法チェックやネイティブの視点からの書き直しは特にしていません。学習者らしさを残しつつ、書く側と読む側の双方の学びと励みになるだけでなく、言語と非言語での「新たな表現の場」を創造するように努めています。

ことばの学習者によって書かれた創造性豊かで多様性に富んだ多読本を、どうぞお楽しみください!

「つながり」から、素敵な何かが生まれるかも?!

  • 髙橋温子 (2017). 「未来とつながろう!多様性をテーマにした、多読とデジタル版多読本作成プロジェクト」The 23th Princeton Japanese Pedagogy Forum Proceedings.
  • 髙橋温子 (2018). 「よむよむビギナーズ!つなげる、つながる、超初級学習者(日本語1年生1学期目学習者)の多読本作成プロジェクト」, The 2018 International Conference of Japanese Language Education 発表要項.
  • 髙橋温子 (2023). 「学習者発想の多読本:様々な学習者と日本語の多様性を生かす」Tadoku Books by Students: Learner-Inspired Extensive Reading Materials Utilizing the Diversity of Japanese Learners and Their Language Use, American Association of Teachers of Japanese Spring 2023 Conference 発表要項.
  • The d. School Stanford University (2004, 2018). Design Thinking Bootleg

ご質問やご感想などは、こちらにお願いいたします。
スミス大学日本語科シニアレクチャラー 髙橋 温子