Original TADOKU Books by Students

YOMU YOMU 学生の多読本シリーズ

スミス大学の日本語クラスでは、多読をしながら、日本語学習者のための多読向けの本を作成するプロジェクトを行っています。

ここでは、スミス大学で日本語を勉強している学生が書いた多読向けのストーリーをご紹介します。

♥レベル別の多読本一覧はこちら

ストーリーのレベル付けは、基本的にNPO多言語多読のレベルの目安を参考にしていますが、学習者の日本語学習や多読経験からの観点も取り入れてレベルを付けています。

基本的に、習った文法・語彙・表現・漢字を使いながら、学生が書ける日本語でストーリーを書きました。また、読者が辞書を使わず、フットノートなしでも読めるように、デザインを工夫しています。

イラスト、写真などは、著作権フリーあるいは、学生オリジナルのものを使用し、ストーリーは学生のオリジナルが中心です。リライト版をする場合は、著作権のないものを選んでいます。


https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/

日本語学習者によって書かれた創造性豊かな、越境ともいえる多読本を、どうぞお楽しみください!

補足:スミス大学で使用中の教科書について
 日本語1年生: げんき LL1-8(秋学期)、げんきLL9-17(春学期)
 日本語2年生: げんき LL18-24(秋学期)、とびらLL1-8(春学期)
 日本語3年生: とびら LL9-15(秋学期)、生教材(春学期)

初級学習者向けストーリー  “Yomu Yomu Beginners!”

Yomu Yomu Beginners! は、スミス大学日本語1年生1学期目のクラスプロジェクトです。日本語で多読をはじめたばかりの学生たちが、他にも自分たちと同じような初級学習者を想定して、レベル0の多読向け読み物を作成しました。

イラスト、写真、絵などは、著作権フリーのものを使用し、学生創作のオリジナルアートやイラスト、写真も豊富に使われています。ストーリーは学生のオリジナルです。

辞書を使わないで読めるように、日本語だけでなく、デザインにも工夫をこらしました。

はじめて多読をする学習者さんたちに、おすすめです!

ここがポイント!

  1. テーマは、「なんでもいい・好きなことなど」です。
  2. 草案をもとに話を書いたら、まず教師から文法や構成などについて、基本のコメントをもらいます。
  3. そして、絵や写真を入れて、ドラフトを作ります。
  4. 3のドラフトをクラスで発表して、クラスメートからフィードバックやアイディアをもらいます (Design Thinking PostIt Feedbackの手法を使います)
  5. 4のフィードバックをもとに、語彙、文法、漢字、ふりがなだけでなく、イメージ、色、字の大きさ、文字数など、非言語的部分に調整と訂正を入れます。
  6. 再度、クラスで発表して、もう一度フィードバックをもらいます。
  7. 多読の本に仕上げて、クラス発表をします。
  8. クラスメートだけでなく、将来の日本語1年生が読みます!

 言語景観と社会、文化について “Yomu Yomu Linguistic Landscapes”

テーマ:言語景観

対象:日本語中級者

日本語2年生春学期 2020年のプロジェクトは、言語景観をテーマにた多読本作成です。学期中、コロナウィルスのために遠隔になりましたが、学生たちは遠隔になっても、プロジェクトを続け、作品を仕上げました!

作者は、教科書「上級へのとびら」を勉強している学生たちです。多読を4学期間続けています。

読み手は、他にも自分たちと同じような中級学習者を想定し、言語と社会、文化の関係に興味がある大学生を対象に、レベル2〜3の多読向け読み物を作成しました。


ここがポイント!

  1. テーマは、「言語景観」です。
  2. 日本や海外の町や場所の言語景観を、Google Maps, Google Street Views を使い、実際に日本やその他の場所を歩きながら、標識や落書きを探して外観的な分析 (etic point of views) と意味的な分析 (emic point of views) をしました。
  3. 標識、表示、落書きなどを中心に、言語だけでなく、イメージ、色、形など、非言語的なメッセージやその意味を分析しました。
  4. その分析を元に言語景観を考察し、考えたこと、疑問に感じたことを、実際の画像と共にストーリーにしました。多読の本として言語景観を通して何を伝えたいか、考えをまとめ、書き上げました。
  5. 作成過程は、Design Thinking のアプローチを使っています。
  6. コロナ禍でも作り上げました!

SDGs 小学生向け多読ストーリー “Yomu Yomu Kids”

テーマ:SDGs (Goal 4 質の高い教育)

対象:日本語初級、中級、小学生

https://sites.smith.edu/japanese-tadoku-project/

2019年春学期の日本語3年生のクラスで、ニューヨークのブルックリンにある小学校P.S.147のDual Language Program で、日本語学習をしている小学3年生とコラボして、子供向けの多読本 Yomu Yomu Kidsを作成しました。

第一弾は、持続可能な開発目的(SDGs)の目標5「質の高い教育」をテーマに、大学生と小学生が Zoom でのミーティングを通して意見交換をしながら創ったものです。

小学生向け (Level 0~1) と大学生向け (Level 3) と2つのバージョンがあり、小学生向けは、子供の発達段階に合わせたデザインになっています。

ぜひ、比べて読んでみてください。

ここがポイント!

  1. テーマは、「SDGs#4 質の高い教育」です。
  2. 日本や海外の教育についてリサーチし、クラスで話し合いました。
  3. P.S.147の小学3年生ともZoomで交流して、学校生活について、好きなことや、こうだったらいいなということを聞き出し、意見交換をしました。
  4. ドラフトの過程で、P.S.147の学生たちに読んでもらい、言語だけでなく、イメージ、色、キャラクター、話の構成など、非言語的な部分を調整しました。(これは、かなり難しい作業でしたが、一番大切な部分でした)
  5. そのフィードバックを元に多読の本として、教育は何だろうか、教育を通して何を伝えたいか、何を共有したいか、学生たちの考えをまとめ、書き上げました。
  6. レベル0とレベル3の書き分けをして、大学生向けの本も作りました。
  7. 作成過程は、Design Thinking のアプローチを使っています。

多様性をテーマにした中級者向けストーリー “Yomu Yomu Diversity”

テーマ:多様性

対象:日本語中級

Yomu Yomu Diversity は、2017年春学期の日本語2年生と4年生のクラスで、学期を通して多読をしながら「多様性」をテーマにした多読向けの本を作成したプロジェクトです。

「多様性とはなんだろうか」、クラスでディスカッションを重ねながら、それをどう表現し、みなに伝えられるだろうか。自分の日本語学習だけでなく、友達、家族、コミュニティ、社会や未来につながることを意識しながら、作られたストーリです。

学生が自ら描いたオリジナルのイラストの他、写真や絵は著作権フリーのものを使っています。ストーリは、学生のオリジナルが中心で、リライトをする場合は著作権のないものを選びました。

日本語は、日本語2年生(大学での日本語学習歴4学期目の学生)が書ける文法・語彙・表現を使っています。

ぜひ読んでみてくださ〜い 🙂

ここがポイント!

  1. テーマは、「多様性」です。
  2. クラスで多様性について話し合いを何度か持ちます。この年のアメリカ選挙は、「分断」が加速している社会を象徴するものでした。学生たちにもインパクトが大きい結果をもたらしました。
  3. 草案をもとに話を書いたら、まず教師から文法や構成などについて、基本のコメントをもらいます。
  4. そして、絵や写真を入れて、ドラフトを作ります。
  5. 3のドラフトをクラスで発表して、クラスメートからフィードバックやアイディアをもらいます 。
  6. 4のフィードバックをもとに、語彙、文法、漢字、ふりがなだけでなく、イメージ、色、字の大きさ、文字数など、非言語的部分に調整と訂正を入れます。
  7. 再度、クラスで発表して、もう一度フィードバックをもらいます。
  8. 多読の本に仕上げて、クラス発表をします。
  9. スミス大学ではじめて作った多読本です。人々の多様な心に響くといいですね!