伝える伝えないプロジェクト

グエン・シンディー

   私は翻訳をしたことはないが、このプロジェクトで漫画を翻訳してみることにした。中学校の時から漫画を読むのが大好きで、英語でまだ翻訳されていない漫画に興味がある。翻訳するテキストは「生まれ変わってもまた、結婚してくれますか」という漫画である。

ジャンルはロマンスとドラマで、戦争の話である。この漫画の二人の主人公は薫と寅之助という深く恋に落ちた夫婦で、二人の子供の時から老人になるまでの記憶が中心の物語である。このプロジェクトを通して、日本語の普段の話し言葉にもっと慣れるようになるといいと思う。相手との関係によって話し方が違うのでそれにも興味がある。そして、この漫画で時々方言が使われている。どうやって翻訳するのか、あるいは翻訳しないことにするか、もっと考えてみたいのである。

   今はネット上で第1話から第7話までは英語版があるが、後の話は日本語版しかない。この漫画の第22話(終章 pp 1〜pp 11)を日本語が読めない人に翻訳してあげたい。戦争の話なので、いろいろな感情が伝わると思う。感情のやりとりをどう英語で伝えるのか、また、歴史的な背景も考えないといけない。

 「生まれ変わってもまた、結婚してくれますか?」という漫画について、誰もがそのタイトルを初めて目にするとただのロマンスの話を思ってしまうかもしれない。だが、この漫画のストーリーはロマンスだけではなく、愛を越えて人間のつながりは何かと、感動を与えるものだと思うのである。戦争の時、戦争の辛さがどのぐらい普通の人たちに影響を与えるのか、私は読んでから、それがよくわかるようになってきた。この漫画を通して、筆者は読者に人と人の関係、特に家族と友達との関係をもっと大切してほしいというメッセージを伝えたいのではないかと思う。

   私は漫画を訳す時、意図的に強くて深い感情を伝えることが大切だと思う。この漫画で様々な人が感情を表していて、色々なが方言も当たり前のように入っている。例えば、寅之助さんが話すどこかの方言がある。例としてあげると、「綺麗なとこや」や「死んだんかのう」のである。でも、英語だったら、性か年齢によって話し方にあまり差がないのがふつうである。よって私の翻訳には方言とか文末とかはあまり重要なことではないとした。つまり、意図的に方言を伝えなかった。その代わり、キャラクターの感情がよく伝わるようにした。それが読者に伝わると嬉しい。

   このプロジェクトを通して、漫画を翻訳することは、思ったより難しいことだということに気がついた。会話だけでも、日本語の話し方の特徴が結構あることがわかった。特に、省略と比喩の使われ方である。英語で比喩はだいたい書き言葉で使われるが、この漫画では話し言葉にもよく使われていた。3ページで寅之助さんは「俺もそっちに、、、」と言った。実は、「そっち」は寅之助さんのお兄さんのところである。全部の文は「俺もそっちに行きたい」かなと思った。だから、翻訳で「I want to go to where my brother is too」になった(図1と図2)。

      

図1                 図2

また、9ページに「寅之助の体はうそのように回復していき」と述べている。直接に翻訳したら「Like a lie his body made a full recovery」になるが、英語であまり自然ではない。だから、「They couldn’t believe that Toranosuke made a full recovery」にした(図3と図4)。

       

図3                 図4

 そして、行間を読むことと英語で何かを強調することを表すのは難しかった。例えば、3ページで龍之介さんは寅之助さんに「君だけは」と言った。龍之介さんが戦争に出撃すると、いつ無事に戻るかどうかわからないからだ。「Only you」と訳すと主語だけを強調するが、この場合で強調したいのは寅之助さんだけができることなので、「This is something only you can do」に訳した(図5と図6)。

       

図5                 図6

もうひとつの例は4ページにある。ここで寅之助さんは「戻らんと」と二回言った。この言葉が二回使われているが、この繰り返しは強調の意図がある。1回目は「I have to go back」に訳したが、2回目は「I must go back」になった(図7と図8)。こうすることで英語でも言葉の強調が伝わるのではないであろうか。

        

図7                   図8

2ページと5ページにも強調である。日本語版で感嘆符が使われているので英語版で強調するように大文字にすることにした(図9と図10)。

       

図9                  図10

 最初は、どうすれば寅之助の方言を翻訳できるかいろいろ考えてみたが、意図的に方言を翻訳せずに感情を伝えることを中心にした。翻訳の中で感情が伝わっているから。私の翻訳の選択はよかったと思う。また、翻訳して、言葉と日本語の話し方のについて新しく気ついたことがある。日本語の会話では、繰り返しや比喩が使われている場合が多い。この翻訳プロジェクトを通して、たくさんのことを学んだが、一番心に留めておきたいことは自分の翻訳はパーフェクトではなくてもいいということである。

 今学期のプロジェクトで動画と漫画を翻訳するのは両方難しかったが、何が難しかったのかが違うと思う。LGBT動画でだいたい不完全文を翻訳した。一方で漫画で不完全文を翻訳した時もあったが、だいたい会話の中で完全文を翻訳した。

 漫画もそれぞれジャンルが違うので、一つの工夫のし方では足りないと思う。将来、他の漫画のジャンルを翻訳してみたい。例えば、大人向けのコメディか子供向けのファンタジーのジャンルである。なぜかというと他の漫画の翻訳には色々なプロセスがあるからだ。このプロジェクトでロマンスとドラマのジャンルを選んだので他のジャンルを翻訳すれば、ますます面白いことに気が付くようになるであろう。

 


漫画の翻訳(全部)